「絶対儲かる!」なんてパワーワードを目にしたら、IPOのことを調べずにはいられませんよね。
- IPO投資は絶対ではないものの、勝率の高い投資
- NISAの枠を使えば利益の非課税化も可能
- サラリーマンや投資初心者でもできるが無一文だとできない
- IPO投資はほとんどの人がガチでやる投資ではない
IPOとは企業が新しく株式市場に上場すること。上場した企業の株価はぐっと上がります。
このぐっと上がる初期タイミングで株を買い、値段が上がってから売るのがIPO投資。
(詳しい仕組みは記事本文にて)
IPO投資が気になっている人は、この記事を読んでおくことで……
- IPO投資が自分の取るべき選択なのか把握できる
- 労力に見合ったリターンが得られるか、判断材料になる
- 良い面だけでなく悪い面も理解したうえで実践するかどうかを決められる
上記のことをさくっと理解できちゃいます。
自分に合った資産形成のかたちを模索中の人は可能性を広げることにもきっと役立ちます。
専門用語は最小限にしました。わんこそば感覚でどんどん眺めてみてくださいね。
IPO投資は絶対儲かるってホント? IPO投資3つの大きな魅力
まずはIPO投資がなぜ人気なのか、その理由をさくっと解説します。
- IPO投資は勝率が高い
- 宝くじのような大儲けの可能性もある
- 抽選に外れても金銭的な損失はない
IPO投資は勝率が高い
IPOの抽選で当選することさえできれば、IPO投資はかなり高確率でリターンが得られます。
IPO投資は……
- 上場する会社の株を「公募価格」で買う
- その後市場で一般取引が可能となった際「初値」で売る
のが基本の動きとなる
公募価格とか初値といった用語がちょっとややこしいですが、IPO投資の流れをシンプルに言うと上記のような感じ。
ここで重要なのは……
初値は高い確率で公募価格以上の価格になっている
ですので公募価格で買うことができた株を初値で売ることができれば、価格上昇分儲かります。
抽選に当たれば、ですけどね。
IPOで儲かる確率は……
- おおよそ80~90%と言われている
※2008年は54社が上場して初値がマイナスになったのは1社だけ
※勝率は景気によって変動します(80%以下になる可能性もあり)
IPO投資は公募価格での購入権に当選さえしてしまえば、まさに十中八九儲かる投資というわけです。
宝くじのような大儲けの可能性もある
IPO投資は儲かりやすいのに加えて、宝くじのような億万長者になる可能性もあります。
公募価格で買って初値で売るのが基本スタイルだが……
- 売らずに保有し続けることで、どんどん株価が上昇することがある
有名どころでいうと「Yahoo!」のIPO実績……
- 公募価格は70万円だった
- 上場して8年後、7億円にまで株価が跳ね上がった
投資家が取引をしやすくするために、株式分割という処置を何度も行ったそうですよ。
他にも……
- メルカリ
- リクルート
- ZOZO
なんかもIPOで注目を集めました(株価については言わずもがな)
上記のことからIPO投資は、億万長者も狙えるような夢のある投資です。
抽選に外れても金銭的な損失はない
IPOの抽選に外れた場合でもお金が減ることはありません。
IPOに申し込む場合……
- 購入するための事前入金が求められることが多い
→もし落選したら、入金したお金はそのまま戻ってくる
一時的に資金拘束を受けることにはなりますが、IPOに申し込んだことでの手数料などは発生しません。
また、もし仮に当選したあとに「やっぱり買うのやめたいなぁ」となった場合も……
購入を辞退することはできる
※ただし証券会社のルールによっては、辞退を繰り返すとIPOで不利になるペナルティが発生するケースあり
もしIPOに当選しても、買う・買わないの最終選択権は自分にあるということ。
このような金銭面での負担の少なさから、IPOに積極参加する投資家は多いです。
IPO投資はNISAの枠を使える?
単刀直入に言うと、NISAの枠を使ってIPO投資は……
できる
NISAの枠で運用した商品からのリターンは「非課税」となります。
通常株式投資で発生した利益には、約20%(20,315%)の税金がかかる
NISA枠内であれば、この約20%の税金がかからず、儲けはすべて自分のものにできる
もし長期で運用し続けた商品から1億円の儲けが出ても、NISAならすべて受け取れるってことですね。
ぼくだったら絶対ごねますね、そんな大金が税金として徴収されたら。
上述したようにIPO投資での儲けも非課税。使えるなら使わない手はありません。
一応、IPO投資でNISAを利用する場合のデメリットについても触れておこうと思います。
NISA口座でIPO投資をした場合に考えられるデメリット……
- 損益通算ができない
- 資金力がない人は、つみたて投資に資産を避けなくなる
損益通算はざっくり言うと儲けと損失をガッチャンコすることで税金を減らすことができる制度です。
税金が非課税になる制度であるNISAには上記の制度が適用されません。
また十分な資金力がない人も、IPO×NISAがデメリットにつながる可能性があります。
- IPO応募のため事前入金
- NISAでつみたてるための資金が減る
- IPO外れまくっている間に市場が成長
つみたて投資ではなくIPOに資金を回したことで、得られるリターンが得られなかった、となり得るということ。
上記のようなデメリットがあることも踏まえて、NISA口座でIPO投資を行う必要があります。
それから、NISA口座はIPOをするためのものではないと個人的には思っているぼくとしては……
NISAに適した優良な商品やサービスが充実した証券会社でNISAをやるべき
ということも主張しておきたいです。
1人1口座しか開設できない貴重なNISA口座。
IPOのやりやすさを重視してNISA口座を開設する証券会社を選ぶと、ほぼ確実に後悔しますよ。
NISAで人気のSBI・楽天証券はIPOも優れているのか
ではNISAのサービスが充実しているSBI証券や楽天証券は、IPOのサービスレベルはどうなのか。
どちらの証券会社も、IPOのサービスはそれほど悪くないと感じる(特にSBI)
調査した感じだと、SBI証券と楽天証券がIPOの質で他の証券会社より特段劣っているとは思いませんでした。
SBI証券 | 楽天証券 | |
NISAでIPOできるか | 〇 | 〇 |
IPO抽選方法 | 70%完全抽選 30%IPOチャレンジポイント |
100%完全抽選 |
IPOの取扱い数 (2023年) |
91件 | 65件 |
資金移動のしやすさ | ◎ | ◎ |
取引手数料 | 無料 | 無料 |
ライバル数 | かなり多い | かなり多い |
完全抽選の場合、抽選は機械で行われます。人の手によるズルが発生しない抽選方法です。
ちなみに「完全平等抽選」という抽選方法なら機会による無作為抽選+応募券が1人1票です。
こちらはSBI証券のIPOサービスの1つです。
- IPOの抽選に落選するとIPOチャレンジポイントが付与される
- 抽選に外れまくると、どんどんIPOチャレンジポイントが貯まる
- 貯まったポイントを使うことで、IPOに当選しやすくなる
極端な話、抽選に外れてポイントためまくれば、いつかIPOに当選するということ。
いうなればスマホゲームのガチャにおける天井みたいなものですね。
その他の特徴としてIPOの取り扱い数や事前入金のための資金移動のしやすさなども、両証券会社とも優れています。
惜しむらくはNISA開設者数業界トップの2社ということから、ライバルが多いということ。
ただ上述したとおり、その他のサービスレベルは悪くありません。
NISAで本来やるべき投資をきちんとやる傍ら、余裕があったらIPOもやるスタンスなら、悪くないと個人的には感じます。
IPO投資はサラリーマン向きの投資?
儲かりやすいと聞いてもリスクが伴うのであれば、堅実なサラリーマンとしては躊躇する部分もありますよね。
そこでIPO投資はサラリーマンにおすすめできる投資なのか、ここで結論を述べておきます。
結論……
- やめとけ、とは思わないが最優先でやるべき投資ではない
IPO投資は確かに魅力的ではあるものの、一般的なサラリーマンが最優先でやるべき投資ではありません。
「投資をやろう」という人の多くが、基本的に十分な資金力を持っていないはず。
- IPOに安定して当選するためには、抽選への参加回数を増やす必要がある
- 抽選に参加するために事前入金が求められる
- 入金した資金は一定期間拘束される
- 運用して資産を増やせるチャンスを見逃すことになる
資産を増やすために投資を始めたはずが、これではマズいですよね……。
また、当選確率が低い=安定したリターンが得られない、という点から……
IPOを資産形成の軸にすべきではない
以上のことから、IPO投資は資産形成初期のサラリーマンが最優先でやるべきではないと考えます。
とはいえ個人的には宝くじを買って億万長者を狙うよりは、IPOの方が現実的なお金の稼ぎ方かなと評価はしています。
副業や転職などの収入アップで余剰資金ができたら、IPOに応募してみてもいいかもしれませんね
IPOの仕組みや流れをシンプルに解説
ここまでの内容でIPO投資に興味を持ち始めた方は、同様のクエスチョンを持たれたのではないでしょうか。
そこでIPOの仕組みや流れについて、シンプルに解説していきます。
30秒で分かるIPOの流れ……
- A企業の創業者(社長)が、自分の会社の株(1株100円)を持っている
- 市場に上場することになり、証券会社に1株500円でA社の株を売る
- 証券会社は投資家(ぼくら)にA社の株をいくらで買いたいか訊く
- 投資家の意見を集計してA社株を1株1000円に決める(公募価格がつく)
- IPOに当選した投資家が1株1000円で購入する
- 市場に上場して誰でも買えるようになる(初値がつく)
- 公募価格で買った投資家は、他の投資家に1株1500円で売る
上記のことから分かるとおり……
- 会社の創業者(社長)が儲かる
- 証券会社も儲かる
- 公募価格で買った投資家も儲かる
ような仕組みとなっています。
(初値が公募価格より安くなると投資家は損をすることもあり)
ちなみにIPOに参加するためには上記「IPOの流れ③」のフェーズで抽選に参加しなければなりません。
ではそのあたりをクローズアップしてみましょう……
- 証券会社が投資家に「1株400~600円の間でいくらだったら買う?」と質問
- 投資家は「〇〇〇円だったら買う」と指定し、抽選に参加
- 投資家の希望金額を集計し、500円だったら買ってもらえると予想
- 証券会社はA社株に500円の公募価格をつける
- 抽選参加者のうち500円以上を指定した投資家の中から当選者が選ばれる
上記のことから分かるとおり……
- 安い希望金額で抽選に参加しても当選することはない
ですので「このIPOには絶対参加したい!」という場合は……
- 証券会社の出した仮条件の金額に対し、MAXの金額を指定して抽選に申し込む
ことが必要となります。
ちなみに仮条件に対する申し込みのことを「ブックビルディング(需要申請)」と言います。
(IPOやらない人は別に覚えなくていいです)
ちなみに企業にとっては上場することで下記のようなデメリットもあります……
- 買収されるリスクが上がる
- 株主からの意見で自由な会社方針が取りづらくなる
ただこれらを差し引いても上場することのメリットは偉大。
ですので今後も、各証券会社はIPOの取り扱いには手抜きをしないと思いますよ。
IPO投資をやる前の注意点
人間は不合理な生き物。
時間のムダになるかもと思っても、当選する確率がゼロじゃないならやってみたいですよね、IPO投資。
ということでIPO投資で後悔しないよう、理解しておくべき注意点についてお話しておきます。
- IPOで必ず儲かるわけではない
- IPO基準でNISA口座を選ぶべきではない
- 事前入金が必要なケースが多い
- ガチでIPOやるなら証券口座を開設しまくる必要がある
- 公募価格が妥当かどうか情報収集する必要がある
IPOで必ず儲かるわけではない
IPOに当選しても必ず儲かるわけではないことは、ゆめゆめ忘れてはいけません。
一般的にIPO投資の勝率は8~9割と言われている……
- 裏を返すと、10回当選したら1回か2回くらいは損をするということ
ですので記事タイトルにあるような「絶対儲かる」というIPOの都市伝説は、あくまで都市伝説。
「リスクがまったくありません!」なんて言われたら逆に怖いと感じる人もいるかもしれませんね。
ちなみにIPOの勝率は景気に左右される部分もあります。
2013年のIPO上場は54社、そのうち初値が公募価格を上回ったのは52社
(勝率96%)
2008年のIPO上場は49社、そのうち初値が公募価格を上回ったのは20社
(勝率41%)
以上のことから、IPO投資の勝率が常に8~9割ではないことも、抽選に応募するなら理解しておかなければなりません。
IPOに当選しても妥当な利益は数十万円程度と考えておく
IPOで億万長者になれるかも、と記事の前半で説明しましたが、当然それは稀なケース。
ほとんどの場合、IPOに当選しても利益は数万円~数十万円程度に収まります。
参考)2023年の初値売りリターン(IPO上場96件)……
リターン | 件数 |
0円以下(マイナス) | 26件 |
0円~9万円代 | 42件 |
10万円~29万円代 | 21件 |
30万円~49万円代 | 6件 |
50万円以上 | 1件(61.7万円) |
Yahoo!の例もそうですが、億万長者になるためにはIPOで買った株を長期保有する必要性が高いです。
しかしそうやって欲張った結果……
- 株価がどんどん下がってIPO当選したことが無駄になってしまう
なんて最悪のパターンになってしまうかもしれません。
そうなるくらいだったら、小さい利益でいいですよね?
リターンの相場を抑えて身の丈に合った儲けを目標に据えておくことで、IPOとちょうどいい距離感を保つことができるでしょう。
IPO基準でNISA口座を選ぶべきではない
NISA口座でIPO投資ができる証券会社は増えていますが、どこでNISAをやるかをIPO基準で考えるのはNGです。
NISAはIPOをやるための制度ではないので……
- サービスの質が低い証券会社でNISA口座を開設してしまうかもしれない
- せっかくNISA向きの商品を運用するサービスが充実しているのに利用できない
IPOの取り扱い数や抽選率の高さで証券会社を選ぶと、このような望ましくない事態になりかねません。
前述しましたがNISAのサービスが充実しているSBI証券や楽天証券でも、IPO×NISAの組み合わせは可能。
王道の証券会社で王道の投資であるインデックス投資をやりつつ、やりたい人はIPOにも応募をする
IPO投資をやりたい! という人はこのようなスタイルが望ましい、というか推奨します。
事前入金が必要なケースが多い
IPOの抽選に参加する場合、ほとんどの証券会社が「事前入金」を求めてくることは覚えておきましょう。
事前入金が求められる理由は……
当選したけど「すんません、お金ないんで買えないっス……」となるのを防ぐため
証券会社は利益を上げるために売れ残りを出したくないので、当然の措置です。
(証券会社と企業の引受契約によっては、売れ残っても証券会社の負担にならないケースもあります)
閑話休題。
事前入金は参加する抽選ごとに必要となります。ですので……
たくさんのIPOに参加しようとすると、それだけ多くの事前入金用の資金が必要となる
裏を返せば「お金持ちはIPOにどんどん応募でき、抽選にも当たりやすくなる」ということ。
このような残酷な現実も加味して、本当にIPO投資をやるべきか自問してみてはいかがでしょうか。
ガチでIPOやるなら証券口座を開設しまくる必要がある
前項でIPOの当選率を上げるには入金力が必要とお話ししましたが、合わせて証券口座をたくさん開設することも求められます。
理由……
- 証券会社によってIPOの取り扱いがことなるから
たとえば事前の情報収集で「このIPO絶対儲かる!」という企業が見つかったとしましょう。
しかし自分が口座を保有する証券会社でそのIPOの取り扱いがなければ、抽選に申し込むことすらできません。
特に「主幹事」となる証券会社は株式配分が多く設定されIPOが当たりやすくなります。
主幹事は大手の証券会社になることが多いですが、IPOによってまちまち。
人海戦術というとちょっと違うかもですが、口座を開設しまくることで当選確率の高いIPOに応募しやすくはなるでしょう。
公募価格が妥当かどうか情報収集する必要がある
IPOの購入価格となる公募価格が妥当なものなのか、リサーチしてから購入するかどうか決めてください。
最終的な公募価格は投資家の温度感で決まるが……
- 公募価格決定前の仮条件の金額は、証券会社が提案したもの
もちろん証券会社も投資のプロ集団。
しっかりとした市場調査や投資家の需要確認を実施し、適切な価格設定をしています。
しかし実際の価値と設定した価格が、必ずしも一致しているとは限りません。
IPOの勝率は景気に左右されるところもありますが、価格設定のズレが要因となっていたケースもゼロではないはず。
もし少しでも損失の発生を防ぎたい人は、参加するIPOの企業情報を収集しておくことをおすすめします。
結論 IPO投資はほとんどの人がガチでやる投資ではない
ここまで粋でいなせな下町育ちの駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後に改めて、この記事の要点をプレイバック。
- IPO投資は低リスクで儲けが狙える、宝くじ感覚の投資
- NISAの枠を使えば利益の非課税化も可能
- サラリーマンや投資初心者でもできるが無一文だとできない
- IPO投資はほとんどの人がガチでやるべき投資ではない
IPO投資は高い確率で儲けが狙ますが、抽選に当選しなければ購入権が与えられません。
当選率を上げようとすると資金力や口座数をバグらせる必要性が高くなるため、本気で取り組むべきではないと考えます。
ですがギャンブル的な投資ではないので、「絶対手を出すな!」とも思ってはいません。
IPOに興味がある人は、注意点を抑えたうえで距離感に気を付けつけて取り組んでいきましょう。
それではまた!
証券口座は投資をするためだけのものではありません。
- 投資に関係する情報を収集する
- 優良な投資先を探す
こういった使い方もできるんです。
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