2024年のヒット商品ランキング1位にもなったオルカン。
今さら人に訊くのは恥ずかしい、という人も多いのではないでしょうか。
- オルカンは、全世界の株式市場を投資対象にした商品
- オルカンは、年平均約9%のリターンの指数と同じ動きを目指している
- オルカンはNISAで長期投資するのにも向いている
- 低リスクなオルカンにも、運用する上での注意点はある
オルカンはインデックスファンドと呼ばれる商品の一種で、多くの人が資産運用に利用しています。
ですが知識不足のままオルカンを買った人は、想定と異なる結果から後悔することになるでしょう。
そうならないために、オルカンの魅力や期待リターンだけでなく、運用する上での注意点まで分かりやすく解説します。
記事を読み終わるころには、知り合いとオルカンの世間話ができるくらいになりますので、ぜひ最後まで眺めていってくださいね。
【投資初心者向け】オルカンとは何?基本データを分かりやすく紹介
まずはオルカンとはどんな商品なのか、基本データから紹介させていただきます。
正式名称 | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) ※1 |
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント株式会社 |
連動する指数 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス |
コスト | 0.05775% |
純資産額 | 4,482,733百万円※2 |
過去5年の平均リターン | 18.23% |
主な販売会社 | 楽天証券、SBI証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券 他 |
※1:全世界株式インデックスファンドを総称して「オルカン」と言う人もいます
※2:記事作成時点(2024年11月現在)のデータです
正式名称の「eMAXIS Slim」は「イーマクシス スリム」と読みます。
連動する指数についても、補足説明をしておくと……
指数とは……
・ある株式市場全体の動きを表したもの
たとえば日本だと……
・日経平均株価
・東証株価指数(TOPIX)
なども指数の1つ
この指数の動きと同じような値動きになることを目指した商品のことを、インデックスファンドといいます。
(指数のことを「インデックス」や「ベンチマーク」などと呼ぶこともありますね)
オルカンが連動を目指すのは、全世界の株式市場の値動きを表す指数です。
人気のあるオルカンは、SBI証券や楽天証券を含め、多くの証券会社で購入することが可能。
その他のカタログデータも優秀な点が多く、投資初心者からベテランの投資家にまで選ばれております。
「とりあえず、迷ったらオルカン」
と言われるくらい、オルカンは名実ともに評価の高い商品です。
では次項で、オルカンに興味を持ち始めた投資初心者向けに、オルカン運用の魅力をもう少し深堀りしていきましょう。
投資初心者が知っておくべきオルカンの魅力4点を分かりやすく解説
- オルカンだけで最強の分散投資を実現
- 組み入れ上位は世界的な企業が多め
- 長期投資にぴったりの低コスト
- 純資産が豊富
- 小額で購入できる
オルカンだけで最強の分散投資を実現
※出典:オルカン目論見書
オルカンは世界中の株式市場を投資対象にしています。
全世界を投資対象にしているメリット……
- もしどこかの国が内戦・疫病等で暴落しても、大きな損失になりづらい
- もし比率の多い米国経済が崩壊しても、他の先進国を投資対象のメインにできる
- もしどこかの新興国が急成長したら、そのリターンも教授できる
特に①や②の損失回避に優れている点が、投資初心者にとっては安心材料となるのではないでしょうか。
インドなどの新興国が成長した場合も、利益を取り込めるので、多少のお楽しみ要素も持っていると言えるかもしれません。
どの国が沈むか、どの国が伸びるか判断ができない投資初心者にとって、オルカンはとっつきやすい商品となっています。
組み入れ上位は世界的な企業が多め
オルカン組入れ銘柄 | 業種 |
マイクロソフト | 情報技術 |
apple | 情報技術 |
エヌビディア | 情報技術 |
Amazon | 一般消費財・サービス |
アルファベット(クラスA) | コミュニケーション・サービス |
メタ | コミュニケーション・サービス |
アルファベット(クラスC) | コミュニケーション・サービス |
台湾セミコンダクター | 情報技術 |
ブロードコム | 情報技術 |
イーライ・リリー | ヘルスケア |
※オルカン目論見書 のデータより作成
上の表はオルカンを構成する上位10銘柄。
日本の企業じゃないのに誰もが耳にしたことがある企業がずらーっと並んでいるのが分かりますね。
オルカンに投資するということは、こういった世界的な企業へ間接的に投資するようなもの。
過去大きな成長を遂げた企業も多く、今後のリターンにも期待を持って、オルカンへ投資する人もいるのではないでしょうか。
長期投資にぴったりの低コスト
オルカンのコストは、インデックスファンドの中でも比較的安く、長期で保有しやすくなっています。
商品名 | コスト(信託報酬) |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775% |
One-たわらノーロード 全世界株式 | 0.1133% |
全世界株式インデックス・ファンド | 0.528% |
つみたて全世界株式全世界株式インデックス・ファンド | 0.198% |
上記は、全世界を投資対象にしたインデックスファンドの保有中にかかるコスト、信託報酬を比較した表です。
他の商品に比べて、オルカンのコストがかなり低水準であることが分かりますよね。
その分大きな利益を出してくれる! とかならいいんですが、インデックスファンドの目的は指数への連動。
基本的に成績はだいたい同じになってしまうので、信託報酬が高いのは損になってしまいます。
純資産が豊富
オルカンの純資産額は、記事作成時点で4,482,733百万円
(約4兆5千億円……)
純資産はその商品の規模を表しており、投資家がオルカンを追加購入することでも増えていきます。
逆に不人気の商品は資金がどんどん流出してしまうため、投資対象に選ぶのはキケンです。
(ファンドが運用できなくなると、投資家にお金を返す繰上償還ということも発生)
また純資産が多いと、投資でお金が増やしやすくなるメリットもあります。
例えば、5%儲かる商品があったとすると……
- 1万円でその商品を買った場合、儲けは500円
- 1千万円でその商品を買った場合、儲けは50万円
投資の世界では、大金を持っていた方が儲けやすいんです。
シンプルな原則ですが、実はけっこう大事なことですよ。
小額で購入できる
オルカンはインデックスファンドと説明しましたが、ここで補足、
インデックスファンドは投資信託という商品の一種です。
投資信託とは……
投資家のお金を1つにまとめて、運用のプロが株式や債券などに投資をする商品
投資信託の目的によって、いろいろな商品に分類される
インデックスファンドは、ある指数と同じような値動きを目指すことを目的にした投資信託、ということ
まあ投資初心者は、投資信託=インデックスファンドと覚えても全然問題ないです。
ここでの本題は、投資信託が小額で購入できるということ。
NISA口座開設数トップのSBI証券や楽天証券などでは、なんと100円で購入可能。
おまけに購入時や売却時の手数料もかかりません。
「投資はお金がかかるもの」
という固定観念を持っていた人にとって、ワンコインで投資ができるのはぼくと同様、驚きではないでしょうか。
こういった比較的手が出しやすい点も、投資信託、ひいてはオルカンが選ばれる理由の1つであることは疑いようがありません。
オルカン購入までの流れを分かりやすく解説
ここまでの内容を眺めて「ためしにオルカン買ってみたいかも」となった人もいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで、投資初心者がオルカンを購入するまでの流れを、ざっくりですが分かりやすく紹介します。
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STEP1
まずはオルカンを運用するための口座開設の手続きから。
基本はネットの証券会社で口座開設するのがおすすめです。
大手のネット証券ならオルカンの取り扱いしているところは多めですし……
窓口だとオルカン以外のゴミ商品を売りつけられる可能性もあるためですね。
-
STEP2
口座開設をする際は、NISA口座も合わせて開設しておくと良いでしょう。
NISA口座は運用で発生した儲けに税金がかからない超お得な口座なので、オルカンの運用は基本こちらで行います。
(NISAのことをもっと知りたい、という方はこちらの記事を参考にどうぞ)
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STEP3
口座開設の手続きが完了後「口座が利用できるようになりました」みたいな通知が届くと思います。
これによって、オルカンなどを買って保有するための箱ができた感じですね。
まずは口座の管理画面を開いて、ある程度見方を覚えておきましょう。
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STEP4
オルカンは投資信託という分類の商品のため、証券会社のサイトから投資信託の商品ページに移動します。
検索窓から探すこともできますが、商品のランキングがあれば、そちらで探すほうが簡単だと思います。
-
STEP5
オルカンを見つけたら、いよいよ注文に進みます。
今後も定期的にオルカンを買うつもりなら、つみたて設定をして注文がいいでしょう。
NISA口座も開設済なら、NISA枠を利用してのつみたて設定もできるはずです。
オルカンに投資した場合のリターンは?シミュレーションで分かりやすく紹介
おそらく気になっている人も多いと思いますので、オルカンに投資した場合のリターンをシミュレーションしてみます。
先ほども紹介しましたが、過去5年でのオルカンのリターンは年平均で18.23%でした。
この数値はかなり上振れした数値であり、オルカン運用年数がまだ短いことから将来のリターンを予想する材料としては、あまり適切ではない
ということで……
オルカンが連動を目指している指数の、過去20年での平均リターンをベースにして、シミュレーションを実施
オルカンは指数とのブレがほとんどないので、指数の実績=オルカンの実績、と考えても大きな問題はないですからね。
で、肝心のオルカンが連動する指数、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスのデータですが……
20年で見ると、およそ9%の平均リターン。オルカンのデータよりは現実的な数値になりました。
ただ個人的にはこれでもちょっと上振れ感があります。そこで……
- 過去の年間と同様、9%のリターンが継続した場合
- ややリターンが鈍化して、6%のリターンとなった場合
- 市場全体の足踏みが続き、3%のリターンとなった場合
の3パターンで、今回はシミュレーションをしてみましょう。
投資金額はリターンの違いがある程度分かりやすくなるように、毎月10万円(年120万円)ずつ追加投資したと想定しています。
オルカンが年間9%のリターンを出した場合
※出典:金融庁
過去のリターンが今後も続いた場合、30年後には2億円近い資産を築くことができます。
オルカンが年間6%のリターンを出した場合
※出典:金融庁
年間6%のリターンが続いた場合、リターンは上記のようになります。
オルカンが年間3%のリターンを出した場合
※出典:金融庁
もしもオルカンの平均リターンが3%となった場合でも、根気強く投資を続けることで30年後には資産5000万円を達成できます。
ですがオルカンのいい面ばかり見て資産をつぎ込んでしまうと、思わぬ落とし穴にはまる危険性があります。
そこで次項では、オルカンを運用する場合の注意点について解説します。
オルカンを運用する場合の注意点とは?投資初心者が知っておくべきこと4点を解説
投資初心者向けと言われるオルカンにおいても、運用する上で理解しておいた方がいいことはたくさんあります。
そんな中でも、これからオルカンを買う人がまず知っておくべき内容を4つに厳選しました。
- オルカンの大部分が米国株であること
- オルカンのリターンがマイナスになる年もあること
- オルカンにもリスクが潜んでいること
- 短期で大儲けができる商品ではないこと
オルカンの大部分が米国株であること
※出典:オルカン目論見書
先ほども紹介した円グラフですが、オルカンを構成する大部分が、ご覧のとおり米国です。
ですのでオルカンへ投資することは、米国へ投資するようなもの。
※出典:Yahoo!ファイナンス
青線がオルカンの、ピンク線が米国の指数(S&P500)に連動したインデックスファンドの、過去5年における成績です。
このことから米国経済の成長に期待する人は、オルカンよりも良い投資商品があるとも言えますね。
(ただし米国への集中投資は、オルカンよりリスクの高い選択にはなります)
オルカンのリターンがマイナスになる年もあること
さきほどオルカンの平均リターンを紹介しましたが、これはあくまで「平均」リターン。
飛び跳ねたくなるくらい良いリターンだった年もあれば、
頭を抱えて茫然自失となるようなマイナスの年もあった
それらを全部含めて均した場合、過去20年のリターンは約9%だった
このことを理解しておかないと、
「今はまだオルカンのリターン5%だから、年末までにもっとリターンが出るはずだぞ」
「今年はオルカンの含み益9%出たから、来年まで投資は一旦ストップしよう」
みたいな見当違いなことをやりかねません。
ですのでオルカンに投資する場合は、毎年のリターンには囚われすぎないことが大切です。
なにより、過去のリターンは未来のリターンを保証するものではありませんからね。
オルカンにもリスクが潜んでいること
低リスクの投資資産と言われることが多いオルカンですが、株式投資の一種であるため当然リスクはあります。
オルカンの主なリスク……
- 価格変動リスク
- 為替変動リスク
- 信用リスク
- 流動性リスク
- カントリーリスク
詳しくリスクの内容を知りたい方は、オルカンの目論見書をご覧ください。
リスクの内容を理解することも大事ですが、それ以上に……
- オルカンにも一定のリスクがあることを理解する
- そのリスクが自分に受け入れられるものか考える
- 許容できる範囲で、投資する金額を決める
もしオルカンの資産価値が大きく減少したとき、上記の可能性を事前に予測していればパニックになりづらくなります。
短期で大儲けができる商品ではないこと
オルカンなどのインデックスファンドに投資する手法を、そのまんまですが、インデックス投資と言います。
インデックス投資は、短期で大きな利益を上げる投資ではなく、長期で資産形成を目指す投資。
ですのでオルカンを買ったからといって、2,3年の短期で5倍10倍の資産を築くことは基本的に不可能です。
「だったら短期投資のほうがいいじゃん」
となる方もおられるかと思います。
確かに短期で資産を増やしたい人はデイトレードなどの手段が適当かもしれません。
しかし投資初心者にとって、高確率で利益が得られる方法ではないため、安易に手を出さない方がいいでしょう。
基本的には……
- 短期投資:ハイリスク・ハイリターン、再現性が低い
- 長期投資:ローリスク・ローリターン、再現性が高い
ので、投資初心者が現実的に資産増加を狙うなら、後者がおすすめとはなります。
オルカンと相性のいい人とは?
ここまでの内容を総括して、オルカンと相性のいい人はどんな人か、紹介しておきます。
オルカンと相性のいい人……
- これから投資を始めようとしている人
- 仕事やプライベートが忙しい人
- 面倒くさがりな人
- 数十年後のため資産を築きたい人
- 収入や貯蓄が少ない人
株式投資で運用する商品の中で比較的低リスクなインデックスファンド。
その中でもトップクラスにコストが安く、安定したリターンを出してきたオルカンは、投資初心者にとってかなり心強い商品です。
全世界の市場を投資対象にしている点は、リスク分散にとても優れています。
数十年後の経済事情がどうなっていようと、世界を投資対象にしているオルカンに取りこぼしは起きづらいです。
こういった調整を行ってくれるオルカンは……
- 仕事が忙しいサラリーマン(社会人)
- 面倒なことは考えたくない省エネタイプの人
にとっても、少ない負担で運用することができるでしょう。
それと、今現在お金の悩みを抱えている人にとっても、オルカンは現状打破のキーになると思っています。
- オルカンに小額でもいいから投資をする
- 働かなくても資産が増えることを実感する
- もっと種銭があれば、大きく資産を増やせることに気づく
- 収入アップ・支出の削減のモチベーションが爆増する
ちなみにこれは実体験を基にしたストーリー。
オルカンなどを運用するインデックス投資を知ってから、ぼくは年収300万円・貯金0を卒業することができました。
とは言ったものの、正直な話、オルカンを買っての長期投資に夢はありません。
ですが、お金が物を買うための道具という考え方や、今生活できる分だけのお金があればいいという考え方を変えるきっかけになります。
投資が自分にとって必要なものなのか。
それを判断するのに、オルカンを利用するのもいいと思いますよ。
【オルカンとは?】投資初心者でも運用しやすい商品
ここまで2個注文すると2つ目が半額になる駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
オルカンの重要ポイントまとめ……
- オルカンは、全世界の株式市場を投資対象にした商品
- オルカンは、年平均約9%のリターンの指数と同じ動きを目指している
- オルカンはNISAで長期投資するのにも向いている
- 低リスクなオルカンにも、運用する上での注意点はある
多くの情報発信者が一押しにしているだけあって、オルカンはとても魅力的な商品です。
ただし今回紹介したような注意点を理解しておかないと、残念な結果につながることもあります。
(もっとも、難易度の高い商品に比べれば確率は圧倒的に低いですが)
オルカンを運用する場合は、メリット以上にデメリットにも目を向けて、自分の目的と合致しているかを確認しましょう。
それではまた!
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