- 楽天SCHDはNISA口座でも特定口座でも運用できるが、個人的には特定口座がおすすめ
- 楽天SCHDは米国の超人気ETF「SCHD」を間接的に買える投資信託
- 本家SCHDの過去実績(連続増配の継続年数と高い利回り)が注目要因の1つ
- 定期的な分配金を目的にしている人に楽天SCHDはおすすめの商品
- 2024年11月現在、楽天SCHDを購入できるのは楽天証券のみ
楽天SCHDは2024年9月27日より運用が開始された投資信託という商品です。
楽天SCHDはNISAで購入することも可能ですが、注意点を理解しておかないと十中八九後悔することになるでしょう。
そんなことにならないため、必要な情報をぎゅっとこちらの記事にまとめました。
記事後半には楽天SCHDを上手に運用するポイントについても紹介。
ぜひ気になっている箇所だけでも眺めていってください。
楽天SCHDを買うならNISA口座と特定口座、どっちがいい?【ぼくが特定口座派の理由】
人気の楽天SCHDをメインのつみたて商品にしようか検討している中で……
こういった考えに至る方は多いのではないでしょうか。
(なにNISAって? という方はまずこちらの記事からご確認を)
確かにNISA口座を利用すれば、税金が発生する特定口座よりも儲けは大きくなります。
しかし、個人的には……
楽天SCHDを買うなら、NISA口座よりも特定口座を利用したい
と、思っています。
ただしこれはあくまで個人的な見解。
投資目的によっては、NISA×楽天SCHDの組み合わせが最適になる可能性もあります。
ですので資産5000万円を目指す普通のサラリーマンによる1意見であることを、ご承知おきくださいませ。
楽天SCHDがNISAで運用するのに分が悪いと感じる理由……
- 分配金を再投資するとNISA枠を消費してしまう
- 分配金コースの変更ができない
- 二重課税自動調整の対象から外れる
- 成長投資枠(1200万円分)しか楽天SCHDの運用に使えない
分配金を再投資するとNISA枠を消費してしまう
楽天SCHDは、ETFである本家SCHDと同様に、分配金を払い出すタイプの投資信託です。
この分配金は、生活費の一部として使えることはもちろん、楽天SCHDへの再投資にも使うことができます。
ですが……
再投資する場合は、NISAの非課税保有限度額を消費することになる
NISAの非課税保有限度額はつみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1800万円。
使い切れないくらい多いような枠と思うかもしれませんが、長期投資においては「もっと枠を広げてほしい」となることも十分想定されます。
それともしNISA枠を使い切った状態で分配金を再投資すると、課税対象である特定口座で買うことになるのにも注意が必要です。
なお分配金を自動で再投資してくれるタイプの投資信託であれば、NISA枠を消費することなく再投資されます。
分配金コースの変更ができない
楽天SCHDの分配金は、再投資するか受け取るかを選ぶことができます。
購入時にこのような選択肢が表示されます。
「分配金目当てで楽天SCHDを買い始めたけど、元本が膨らむまでは再投資でいいかなぁ」
といった場合は、「再投資型」を選択しておけば、自分で再投資する必要がなく、タイミングを見て受取型に変更することも可能。
ですが……
NISAで購入した楽天SCHDに関しては、途中でコースの変更は不可
もし再投資分を含めてNISA枠を埋めたあと、分配金を受け取ろうと思っても受け取れませんからね。
(それと前項で記載したとおり、NISA枠で買えない場合は課税口座で買い増しされます)
つみたてた楽天SCHDをすべて売却して設定しなおすことはできそうですが……個人的にはやりたくありません。
ですのでNISA枠で楽天SCHDのつみたてを検討している人は、分配金コースの選択は慎重に行いましょう。
二重課税自動調整の対象から外れる
楽天SCHDは二重課税が自動調整される点も魅力の1つですが、NISAにおいては対象外となっています。
- 二重課税=外国と国内で税金が徴収される状態
- 「それは可哀そう」と、外国分の税金の一部を控除してもらえる
- 控除の手続きも証券会社側でやってくれる
会社が年末調整を行ってくれるサラリーマンにとって、確定申告を避けることができますね。
ただNISAに関しては、国内でかかる税金が免除されるため、二重課税の状態となりません。
そのため必然的に二重課税自動調整の対象から外れる、というわけです。
楽天SCHDをNISAで運用する場合は、分配金にかかる税金の扱いについて、勘違いしないよう気をつけましょう。
成長投資枠(1200万円分)しか楽天SCHDの運用に使えない
楽天SCHDはNISAの成長投資枠でのみ買える商品です。
そのため成長投資枠として利用できる上限、1200万円分までしか元本をつみたてできません。
致命的な問題にはなりづらいですが……
NISA×楽天SCHDだけで資産運用を検討している人にとっては、つみたて投資枠(600万円分)が利用できず余ってしまう
なぜ楽天SCHDはこんなに注目されている?
楽天SCHDは9月27日より販売がスタートした、まさに生まれたての投資信託です。
(設定日は9月18日で、実際に投資家が購入できるようになったのは9月27日~)
販売開始7日目にして……
- 純資産総額が100億円超!
楽天証券の投資信託、買付ランキング・積立設定件数ランキング……
- オルカンなど王道商品を抑え、いずれも第1位を獲得(記事作成時点)
純資産総額は順調に増えているようで……
※出典:楽天証券
1ヶ月足らずで300億円を達成したようです。
(さらに記事作成時点では、400億円を超えておりました)
出だしが好調の楽天SCHD。
ところでなぜこんなに脚光を浴びているのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
というわけで、楽天SCHDとはどんな商品なのか、ざっくり紹介します。
正式名称 | 楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型) |
商品の種類 | インデックスファンド(分配金が払い出されるタイプ) |
分配頻度 | 年4回(2、5、8、11月) |
連動する指数 | ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス |
コスト | 0.192%/年 |
NISA枠の利用可否 | 可能(ただし成長投資枠のみ) |
まあこのデータを見たところで……
「NISAで買える、分配金ありの投資信託なんだ……へぇ」
くらいの感想を抱く方がほとんどではないでしょうか。
というわけで補足情報です。
楽天SCHDは、米国の「シュワブ・米国配当株式ETF(SCHD)」に、間接的ではあるが、投資ができる商品(投資信託)
シュワブ・米国配当株式ETF(SCHD)とは、米国でVYMという商品と並び、人気トップクラスのETFです。
「じゃあ最初から本家のSCHDを買えばいいんじゃない?」
と思った方も多いと思います(正直、ぼくも思いました)
ただ残念ながら、ライバルのVYMと違って本家SCHDは、日本の証券会社で取り扱いがありません。
そのため「欲しくても手が出せない!」という状態でした。
そこで登場したのが、楽天SCHD。
この投資信託を買うことで、米国トップクラスのETFを間接的に買うことができるようになった、というわけですね。
と、基本情報説明が長くなりましたが、ここからは楽天SCHDの魅力について、もう少し深堀していきます。
- 米国で人気のETF「VYM」をしのぐ高い利回りと配当成長率が期待されている
- 投資信託のため小額で買える(100円から購入可能)
- 二重課税自動調整のため面倒な確定申告いらず
米国で人気のETF「VYM」をしのぐ高い利回りと配当成長率が期待されている
安定した分配金と長期で銘柄も成長も見込める米国のETFといえば、VYMという商品が候補に挙がります。
ですが本家SCHDの過去リターンは、ほとんどの時期においてVYM以上でした。
※出典:bloomberg
配当利回り比較……
- SCHD:3.57%
- VYM:2.65%
※2024年11月現在
SCHDが連動する指数は、「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」
こちらの指数は、米国の配当利回りの高い100銘柄によって構成されています。
ですので、ETFから払い出される分配金についても自然と大きくなるようです。
忠告しておくと、今回登場した楽天SCHDと本家SCHDのリターンがまったく同じになるわけではありません。
(特に運用初期段階であるうちはデータが少ないですからね)
ただそれでも、本家SCHD自体が確かな実績を上げてきた分、楽天SCHDもリターンを期待することはできます。
投資信託のため小額で買える(100円から購入可能)
楽天SCHDは投資信託のため、ETFである本家SCHDよりも購入単価がかなり安くなっています。
- ETF……1口単位で購入
- 投資信託……100円から購入可能(※)
※証券会社によっては1000円~など最小購入金額に違いあり
確認したところ、記事作成時点での本家SCHDの1口あたりの値段は、128.50ドルでした。
1ドル = 150円で計算すると、日本円で約19,275円。
反面、投資信託であれば、ワンコインから購入することができるため、
「高配当な商品が気になるから、試しにちょっとだけ買ってみたいなぁ」
といった方にとって、比較的手が出しやすいと言えるでしょう。
また金額を指定して購入できる分、長期投資と相性のいい戦略と言われる「ドルコスト平均法」も実践しやすいですね。
二重課税自動調整のため面倒な確定申告いらず
楽天SCHDから支払われる分配金は、「二重課税自動調整」の対象となるため、利益の一部を取り戻するのに確定申告が必要ありません。
「ごめん、ちょっと意味が分からない……明日にしましょ」
という方も多いと思うので、ざっくり説明します。
「二重課税自動調整」は海外で発生する税金のことを考慮して分配金を支払ってくれる仕組みです。
すなわち、確定申告をしなくても分配金を最大限受け取れる、ということですね。
年末調整によって確定申告が基本不要なサラリーマンにとって、余計な手間が発生しない分、かなり嬉しい仕組みですよね。
1つ注意点があるとしたら、楽天SCHDをNISA口座で買っている場合。
課税口座で楽天SCHDを買ったときと同じく、税金の手続きは必要ありませんが……
国内での税金が免除されるNISAの場合、二重課税にならない
(海外でのみ税金が徴収される)
NISAは日本の制度なので、海外で発生する税金に対しては税金免除の効力はなく、普通に課税される
(楽天SCHDの場合は10%が税金でとられる)
それでも課税口座で二重課税自動調整後の分配金を受け取るよりはリターンは大きくはなります。
ですので投資目的によっては、NISAで楽天SCHDを運用するのも検討していいかもしれません。
楽天SCHDとVYMはどちらがおすすめ?
「本家SCHDのライバルであるVYMは日本で買えるんでしょ。楽天SCHDとどっちを買うのがいいんだろう」
記事を読み進める中で、このような疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。
楽天SCHDとVYM、どちらが優れているかは一概に言い切ることはできません。
(ただでさえ楽天SCHDは運用を開始したばかりでデータ不足ですからね)
それでも1つの基準として、ぼくが考える2商品の選び方くらいはご案内しておこうと思います。
- 高配当と値上がりを期待するなら、楽天SCHDを買うのがおすすめ
- 安定した配当と低コストを重視するなら、VYMを買うのがおすすめ
まずはざっくり本家SCHDとVYMのカタログデータを比較してみましょう。
本家SCHD | VYM | |
配当利回り | 約3.3%前後 | 約3.0%前後 |
配当成長率 | 約10%〜12% | 約6%〜8% |
経費率 | 0.06% | 0.06% |
過去10年の 平均リターン (値上がり益含む) |
約11%〜12% | 約10%前後 |
投資対象銘柄数 | 100銘柄 | 約500銘柄 |
もし楽天SCHDも同様の成績を出し続けることができれば、リターンとしてはVYMより高くなるでしょう。
とはいえ楽天SCHDは、本家SCHDよりもコストが高めに設定されています。
- 本家SCHDの保有中にかかるコスト 0.06%に対し、
- 楽天SCHDの保有中コストは0.192%
VYMも保有中のコストは0.06%なので、楽天SCHDとは3倍以上のコスト差があることになります。
この違いが長期になればなるほど、リターンの差となってくることもあるかもしれません。
そういった観点で考えると、VYMより楽天SCHDの方が、多少リスクをとった商品とも言えるでしょう。
ですので、安定志向のぼくとしては、どちらかというとVYM推しかもしれませんね。
ただ構成上位10銘柄を見てみると……
本家SCHD | VYM |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ | ブロードコム |
ブラックロック | JPモルガン・チェース |
シスコシステムズ | エクソンモービル |
ホームデポ | P&G |
シェブロン | ホーム・デポ |
アッヴィ | ジョンソン・エンド・ジョンソン |
ベライゾン・コミュニケーションズ | ウォルマート |
ファイザー | アッヴィ |
テキサス・インスツルメンツ | メルク・アンド・カンパニー・インク |
ユナイテッド・パーセル・サービス | コカ・コーラ |
※2024年11月現在(赤字は共通銘柄)
このようにかぶっているものがあまりありません。
ので、銘柄分散を狙って楽天SCHDもVYMも両方つみたててしまう、なんていう方法もありますね。
楽天SCHDを買う前のチェックポイント
ここまでの内容を読んで、
「いいじゃん、楽天SCHD! もう買うしかないわっ」
となった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、楽天SCHDの購入前に押さえておきたいポイントについて、解説いたします。
せっかくの優良商品を「買って後悔……」みたいなことになりたくない人は、ぜひご確認を。
- 利益の最大化が目的なら優先度は低い
- VYMより常に高いリターンを出すわけではない
- 投資対象銘柄がそこまで多くない
- 分配金の受け取りが「円」に限定される
- 現状、購入できるのは楽天証券のみ
利益の最大化が目的なら優先度は低い
楽天SCHDなど分配金を払い出している投資信託やETFなどの商品は、再投資する商品よりリターン自体は控え目です。
- 株式投資による資産は福利によって増えていく
- 資産が多いほど、福利効果は比例して大きくなる
分配金を払い出すことで株式市場で運用する資産が減るため、福利効果が弱まるということですね。
ですのでリスクはあまりとりたくないけど、なるべく早く資産を増やしたい、という方は、
分配金を再投資するインデックスファンドの方が、相性がいいでしょう。
VYMより常に高いリターンを出すわけではない
VYMよりも高いリターンを挙げてきた本家SCHD。
そのことから「SCHDはVYMの上位互換」みたいなイメージが抱かれがちですが、そんなことはありません。
チャートを区切る期間によってはSCHDの方が劣勢となっていることも、過去にはたくさんありました
※出典:Googleファイナンス
青線がSCHD、黄色線がVYMです。5年スパンだとSCHDの圧勝にも見えますが……
※出典:Googleファイナンス
直近6ヶ月で区切るとこのような感じ。
もっとも長期のチャートでリターンを出している方が、優秀な商品ということは否定しません。
ですがSCHDが百戦錬磨の最強商品ではない、ということを覚えておくと、過剰な期待を避けることができます。
投資対象銘柄がそこまで多くない
楽天SCHDが連動を目指す指数は「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」
名前に100とあるとおり、構成銘柄も100社となっています。
つまり、楽天SCHDの銘柄分散としては100社分
米国の代表的な指数であるS&P500が約500銘柄を対象にしていることを考えると、ちょっと少なめですよね。
VYMの投資対象も、2024年11月現在でおよそ500銘柄。
ですのでリスク分散効果が高いのは、VYMと言えます。
一般的に、10年後に残っている企業(大企業含む)の割合は、約30%〜40%と言われています。
SCHDが定期的な銘柄入れ替えをしてくれるとは言え、
「100銘柄だけで20年以上の長期投資をするのは、なんだかちょっと怖いかも……」
という方は……
- VYMなど銘柄数の多い商品を検討する
- SCHDと並行して他の商品もつみたてる
といった対策をとりましょう。
分配金の受け取りが「円」に限定される
楽天SCHDから支払われる分配金は「ドル」ではなく「円」での受け取りに限定されます。
理由……
楽天SCHDは日本の商品(投資信託)のため
※VYMなどのETFは分配金をドルでも受け取り可能
(ドルで受け取るための設定が必要)
まあ、特別理由がなければ困ることはないかなとは思っています。
もし資産形成などの観点から「分配金はドル一択っしょ」という方は、
楽天SCHDではなく、VYMなどの米国ETFの方が相性がいいかもしれません。
現状、購入できるのは楽天証券のみ
楽天SCHDは、名称に「楽天」と入っていることから楽天証券で買えることは分かるかと思います。
ただ正確に言うと……
楽天証券で買える、ではなく現状、楽天証券でしか買えない
楽天SCHDは、楽天投信投資顧問が提供している商品であることが理由のようですね。
そのため別の証券会社でNISA口座を開設した人が、
「楽天SCHDをNISAで運用したいっ」
という場合には、NISA口座の変更手続きを行う必要があります。
(どうしてもNISA×楽天SCHDを実現したい人は、NISA口座変更の記事もご確認を)
ですが前述したとおり、楽天SCHDを課税口座で運用する方法もあります。
- NISAを開設したメインの証券会社で王道のインデックスファンドをつみたて
- サブの証券会社にある課税口座で、楽天SCHDをつみたて
このくらいだったら、忙しいサラリーマンでも大きな負担なく管理することができるでしょう。
現状、楽天証券の口座開設すらしていない人は、楽天SCHDを選択肢に入れることすらできませんので、
この機会にさくっと、口座開設しておくことをおすすめします。
【結論】楽天SCHDは悪い商品ではないが、NISAで買う場合の注意点は理解しておく
ここまで傍若無人な駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
運用がスタートしたばかりでデータ不足な部分はありますが、楽天SCHDは人気度に見合う優良商品だと思っています。
ただし本文で開設したとおり、どんな商品なのかを理解しておくことが、後悔しないための重要なポイント。
特にお得な制度であるNISAを利用する場合は、誤った認識をしないように気をつけましょう。
それではまた!
証券口座は投資をするためだけのものではありません。
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そんな方向けに、moomoo証券の良い点・悪い点、正直な評判などをこちらの記事にまとめました。
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